講演

 

講師  諸橋 勇 氏(青森保健大学)

現在の理学療法の中では、職場での技術指導の不足、治療のマンネリ化、閉塞感など 理学療法士が成長実感や未来への期待を感じられない状況が存在する。私は良く研修会で 参加者に次のように質問する。「貴方の職場では職場の技術レベルを何年目の理学療法士に 合わせていますか?」、そうすると「そのような事は考えたこともない」、「意外に若い理学 療法士の技術レベルに合わせているかもしれない」などの答えがある。それにしても、この ような問いに関する答えは誰に対して、どのように決めるべきなのでしょうか。

わざとは、観察や分析、触診やハンドリングといった実践的技能を指し、一方で臨床知は、 個々の症例に対する直感的判断や洞察力、経験に基づく知識、メタ認知などを包含する。こ れらは相互作用し、補完的で、質の高い理学療法を提供するための重要な要素であり、本質 の一つでもある。本質とは、誰でもが受け入れられる納得解であり、多くのうまく行ってい ない事象は本質からズレているとも言われている。

前述したような現場の問題が生じているとしたら、我々は何か本質からズレている可能 性はないだろうか。エビデンス、標準化、マネジメントなどを重視するがために、我々が見 失っているものはないだろうか。

わざや臨床知は理学療法を行うための「やり方」であるが、一方我々は理学療法士として の「あり方」に関して十分に身に着けているだろうか。学校教育、卒後教育、自己学習など どこで「あり方」を身に付けるのだろうか。本講演では、やり方の習得の過程を通じて、よ り本質的なことを考える機会とし、さらに理学療法士としての責任も含めた「あり方」に関 して言及し、対象者に対して、より良い理学療法の提供が可能となるだけでなく、次世代の 理学療法士の成長に向けての問題提起と提言をする。

プログラム

プログラムは現在準備中です。